飲食店の開業に向けて店舗のコンセプトを固めよう!(前編)

計画作り

飲食業界は一般的に開業から1年以内の閉店率が40%、3年で70%、5年で80%、10年で90%以上と言われるほど生存競争が激しい業界です。さらに近年は物価の高騰などの影響を受けてその厳しさを増しており、開業から早々に廃業へ追い込まれるリスクも高まっています。そうした状況の中、お店を開業するためには軸がブレない店舗コンセプトを作り上げることが必要不可欠です。こんなはずじゃなかった…とならないためにまずはしっかりと店舗コンセプトを固め、気持ちに余裕を持って開業準備を進めていきましょう。
本記事では、前編・後編に分けて飲食店開業に必要な店舗コンセプトの考え方や作り方のポイント、活用法などを解説しますので是非最後までお読みください。

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 飲食店開業に向けて準備・検討している方
  • 飲食店開業に向けてお店の特徴を決めかねている方
  • 飲食店開業に向けてターゲットを決めかねている方

店舗コンセプトとは?

コンセプトとは、「物事の考え方のベース・方向性」のことです。つまり、これから開業する飲食店においては「どのようなお店にするのか?」という基本理念になります。そのため店舗コンセプトを固める作業は飲食店の開業に向けてスタートを切るうえで最初に取り組むべき重要な作業です。
また、店舗コンセプトはお店の経営方針を決めるうえでの指標でもあることから、後に取り組む創業計画書の作成や物件選び、開業資金の調達においても重要な役割を果たします。 私の経験では、店舗コンセプトが明確ではなかった場合、たとえ開業することは出来ても、その後は十分な集客ができず苦戦を強いられることも多く、短期間で廃業に追い込まれたケースもあります。
一概にも繁盛店の経営者全てが開業する時に綿密な店舗コンセプトを作り上げているわけではありませんが、そのお店になんらかの魅力がなければ繁盛しないといっても過言ではありません。競合ひしめく飲食業界において偶発的にヒットを飛ばせる可能性は極めて低く、無謀な挑戦となることだけは避けなければなりません。成功のカギを握る自分のお店ならではの魅力をコンセプトに組み込んでいきましょう。

店舗コンセプト作りは競合店調査と並行して行う

店舗コンセプト作りは、出店エリア、競合店を想定する必要があります。競合店の調査は開業準備の早い段階から出店エリアを想定して取り掛かり、将来的に競合すると思われるお店の特徴を把握し、差別化となるポイントなどを店舗コンセプトへ反映させましょう。

店舗コンセプトが必要な理由とは?

開業の際、絶対にコンセプトを決めなければならないというルールはありません。ただし、コンセプトがなければ経営方針の軸が決まらず、一貫性のないお店になってしまうことがあります。考え方の軸を作り、開業する際の迷走を防ぐためにも、コンセプトを固めることが重要です。 それでは、なぜ店舗コンセプトが必要なのかを具体的にご紹介します。

競合店との差別化

飲食業界は競争が激しく、競合店との差別化が不可欠です。コンセプトを明確にすることで、顧客に対して「この店ならではの特徴」を強調でき、他店と差別化することができます。特に、メニュー構成、内装、サービスなど、全てが統一されたテーマで表現されることで、店の個性が際立ちます​。

ブランドイメージの形成

コンセプトは飲食店のブランドイメージを形成する基礎になります。統一されたコンセプトにより、顧客はその店に対して特定のイメージを持つようになります。例えば、和食レストランなら「落ち着いた雰囲気で、季節感あふれる料理を提供する」というイメージがブランドとして確立されます​。

ターゲット層の明確化

コンセプトを明確にすることで、どの顧客層に向けた店なのかを決めることができます。ファミリー向け、ビジネスマン向け、若者向けなど、コンセプトが顧客層に合致していると、集客がしやすくなります。顧客が求めるメニューやサービスを提供するためには、適切なコンセプトが必要です​。

一貫性のあるサービスの提供

コンセプトがあることで、メニュー構成、サービス、店内装飾などが一貫したテーマでまとめられ、顧客に統一された印象を与えることができます。これは、顧客が何度も店を訪れる理由となり、信頼感を生み出します。一貫性が欠けると、顧客は混乱し、リピート率が低下する可能性があります​。

経営判断の基準になる

コンセプトがしっかりしていると、物件選びや内外装工事など、経営における重要な判断を行う際の基準となります。例えば、メニュー開発やスタッフへの教育なども、コンセプトに沿って行うことで、お店全体の統一感を保ちながら効果的に運営できます。

これらの理由から、店舗コンセプトは飲食店の開業において非常に重要な要素です。 繁盛しているお店に共通して言えることは一貫したコンセプトが存在しているということです。裏を返せば、コンセプトに一貫性がないお店は、繁盛しにくいと言えるでしょう。

まとめ

今回は店舗コンセプトがなぜ必要なのかをお伝えしました。
飲食店におけるコンセプトは、そのお店が提供する価値や方向性を示すものであり、顧客に対するメッセージでもあります。そして、多くのことを決定していく過程での判断軸にもなるため、非常に重要な要素です。開業に向けた第一歩としてじっくりと時間をかけて作り上げていきましょう。
後編では店舗コンセプトの作り方について事例を交えながら詳しくお伝えしますので是非続けてお読みください。