飲食店の開業における居抜き物件の注意点とは?(後編)

物件探し

前編では、居抜き物件とスケルトン物件の違いや居抜き物件のメリット・デメリットなどについてお伝えしました。後編では、居抜き物件が選ばれる理由や借りる際の注意点について詳しく解説していきますので是非最後までお読みください。

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 飲食店開業に向けて準備・検討している方
  • これから物件探しに取り組む方
  • 居抜き物件を借りることを検討している方

居抜き物件が選ばれる理由

居抜き物件が選ばれる一番の理由はなんといっても初期投資が抑えられるということです。
個人経営のお店をオープンする場合、一般的な相場観として1坪あたり50万円程度が内装費や設備費で必要と言われていますが、近年は資材の高騰などによりさらに上昇してきています。それに加えて、物件を取得するための保証金や前家賃、仲介手数料などが家賃の10ヵ月分程度かかるとすると例えば家賃が20万円で10坪のお店を構えるだけでも700~800万円程度が必要となってきます。
居抜き物件は内装や設備を中古として買い取る造作譲渡料(居抜き料)を支払ったとしてもスケルトン状態からお店を作り上げるよりも費用を削減できることが大きな魅力です。そのため、店探しをして資金面の壁に直面すると居抜きが良いと考える方が多いのです。

居抜き物件を借りる際の注意点

居抜き物件を借りることで内装費や設備費は抑えられますが、忘れてはいけないことは、「何らかの理由で閉店した実績のある物件である」ということです。つまり前のお店と同じ業態で同じようなことをすれば閉店する可能性が高いとも言えます。まずは、なぜ前のお店がなぜ閉店したのかを明らかにする必要があります。居抜き物件を借りる際によくある失敗は以下の通りです。

物件の見た目で判断してしまう

最も多い失敗は物件の見た目だけで判断してしまうことです。店内の雰囲気が良く、内装も設備も状態が良いからといって悪立地であることに目をつむり借りてしまい、見込んでいるターゲット層を集客できなければ本末転倒です。安上がりだからという理由での立地選定のミスは絶対に避けなければなりません。物件の見た目は、出店した後からでも変えることはできますが、立地は一度決めたら変えることはできません。

席数が少ない

坪数に対して席数が何席取れているかも重要です。厨房が広く、坪数に対して席数が取れていない物件もあります。個人経営のお店の場合、坪数×2くらいの席数が理想とされています。10坪あったら本来20席くらい取りたいのに10席しかないとすると、ゆったりして居心地の良いお店に見えるものの満席になった場合の一回転の売上が半分になるため、もともと利益がでない造りの物件に手を出してしまったということになりかねません。そうした物件は、内装に大幅に手を加えて席数を増やすか、業態を変えてでも客単価を上げるしかありません。

設備の状態確認を疎かにする

設備の状態をしっかり確認することも重要です。冷蔵庫などの厨房機器は型番や年式を確認しましょう。たとえ今は使えているとしても年式が古く、メンテナンスが行き届いていなければ、いつ壊れてもおかしくありません。エアコンも同様です。家庭用エアコンであれば安価ですが、飲食店向けの動力(4~5馬力以上)の大きな天井埋込式のエアコンだと1台40~80万円と高額です。設置費・工事費を入れるとさらに負担が大きくなります。居抜きで安くあがったと思っていても、設備がすぐに故障してしまい結局高くついてしまうことも珍しくありません。

前のお店が閉店した理由を調べる方法

居抜き物件を借りる際には前のお店が閉店した理由を調べることが欠かせません。仲介する不動産会社から聞ける情報に加え、前のお店の屋号をインターネット上で検索すれば、食べログぐるなびで情報を得ることもできます。メニューや客単価、口コミなどをチェックし、前のお店が閉店に至った仮説を立て、内見時に得られる情報と合わせて契約の判断材料にしましょう。

食べログはお店のからの情報発信ツールとしてだけではなく消費者の備忘録としても利用されており、閉店してもお店の情報をすぐに削除することができないため、ネット上にそのまま残り続けます。

まとめ

今回は前編・後編にわたって居抜き物件の注意点についてお伝えしました。開業において多くの方が判断に迷う物件選びの参考になれば幸いです。
居抜き物件を借りることに対して厳しい目を向けられてしまうのは、それだけ失敗例が多いためです。何度もお店が入れ替わっている物件には必ず上手くいかなかった理由が存在します。それが立地の問題だったのか?構造上の問題だったのか?業態の問題だったのか?を明らかにして、打開策を練り、解消できそうになければ借りることを避けた方がいいでしょう。
物件探しで大事なことは、居抜き物件、スケルトン物件を問わず、自分が決めたお店の条件に妥協しないことです。創業計画書と照らし合わせながら最良の物件を探しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。