飲食店を開業するにはどれくらいの資金が必要か?(前編)

開業資金

当然のことですが、理想のお店を開業するためにはそれ相応の資金が必要になります。そして開業に向けて色々な準備を進めていくうえで常について回るのが資金面の不安です。資金に余裕がなければその分、出来ることは限られてきます。そのため、飲食店の開業において資金をいくら準備・調達できるかが成功のカギを握ると言っても過言ではありません。
予めお店の開業にどれくらいの資金が必要になるかを詳しく把握しておくことで、目標に向けて自己資金を貯める期間を含めた開業までのスケジュールが明確になり、気持ちにゆとりをもって準備をすすめていくことができます。本格的な開業準備に取り掛かる前にまずは必要資金のことをしっかり把握していきましょう。本記事では、前編・後編に分けて飲食店開業に必要な資金について詳しく解説していきますので是非最後までお読みください。

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 飲食店開業に向けて準備・検討している方
  • 飲食店開業に向けて自己資金を貯めている方
  • 飲食店を開業したいが資金がどの程度必要かわからない方

一般的には○○万円必要?飲食店開業に必要な資金

一般的に飲食店の開業には1,000万円程度が必要と言われています。
日本政策金融公庫が2024年11月に公開した2024年度新規開業実態調査では開業時の資金調達額の平均は1,197万円となっています。ただし、これは飲食業に限った調査結果ではなく、「飲食店・宿泊業」の割合は14.5%となるため、あくまで参考程度としてください。
ですが、飲食店の開業には、店舗取得費に加えて設備投資が必要なため、開業時の費用が高額になりがちです。店舗の規模や業態によっても異なりますが、一般的に飲食店を開くには、1,000万円程度が目安といわれているため、その程度の金額を見積もっておくと良いでしょう。

自己資金はどれくらい貯めておけばいい?

「2024年度新規開業実態調査」では開業時の自己資金の平均は293万円となっています。こちらの数値も開業費と同様に飲食店に限った調査結果ではありませんが、飲食店の開業費は他の業種と比べても高額であるため、居抜き物件などで初期投資が抑えられるなどのケースを除き、300万円は確保しておきたいところです。
当然のことですが自己資金は多いに越したことはありません。理想は全ての開業資金を自己資金でまかなうことですが、目安となる1,000万円を貯蓄するには相応の時間がかかります。気力、体力が充実している時期に開業したいと思う方が多いでしょう。そのため必然的に自己資金では足りないお金を金融機関からの融資に頼ることになります。融資を受ける際に自己資金が必要な理由は以下の通りです。

自己資金が必要な理由とは?

金融機関からの信用が高まる

自己資金が少なければ、金融機関はこの人は思いつきで開業しようとしているのではないか?計画性がないのではないか?と判断します。逆に自己資金が多ければ信用は増し、融資を申し込む際のプラス材料になります。

融資の受ける際には、金融機関の審査の過程で通帳のチェックが行われ、自己資金を確認されることになります。通帳を見れば毎月コツコツと貯蓄してきたこと一目で分かり、開業に向けてしっかりと準備を進めてきたことが金融機関へ伝わります。

自己資金の額によって借りられる融資額が異なる

融資で借りられるお金は、飲食企業へ一定期間勤務した経歴(少なくとも3~5年以上)がある場合で、自己資金の3倍程度が目安になります。(融資額に関しては金融機関へご相談ください。多くの金融機関では融資の申し込みを行う前でも相談できる窓口を設けています。)

融資で借りられるお金は自己資金が
100万円の場合/融資額の目安は300万円(開業資金の総額400万円)
300万円の場合/融資額の目安は900万円(開業資金の総額1,200万円)

その差は歴然です。

その他の注意点

  • 例え自己資金が多くても飲食業界での経験が浅い、創業計画書の内容に具体性がない場合などは金融機関側から見て、信用に欠けると判断され、融資を断られたり、融資希望額を減額されてしまうことがあります。
  • 例え自己資金が500万円あったとしても、その3倍にあたる1,500万円の融資が受けられるとは限りません。いくら好条件が揃っていても新規開業は事業実績がないため、金融機関は本当に返済してもらえるのか慎重に判断します。個人で開業する際の借入金の上限額は1,000万円程度と考えた方が妥当でしょう。

まとめ

今回は飲食店開業にどれくらいの資金が必要であるかについてお伝えしました。
飲食店の開業には想像以上にお金がかかります。そのため、自己資金は少しでも多いに越したことはありません。飲食業界での経験を積み重ねながら、地道に自己資金を貯めていくことも開業で成功するためには欠かせない要素です。
後編では開業資金が具体的にどのようなことに必要になるかを詳しくお伝えしますので是非続けてお読みください。